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UAVを活用した測量現場

ENGINEER’S VOICE Vol.10

UAVを活用した測量現場

測量、設計、施工及び検査のあらゆるプロセスにICT技術を活用し、 現場の生産性向上を図る。

UAVを活用した測量現場の
「生産性革命元年」

UAVによる3次元データ作成


本業務では、国土交通省北陸地方整備局黒部河川事務所管内の黒部峡谷鉄道鐘釣橋上流部不帰谷と黒部川合流点において、土砂流出状況及び黒部川への影響を把握するためにUAVによる空中写真測量に主任技術者として従事しました。
(測量範囲)3次元点群測量1.0km×0.1km


現場は急峻な地形であり、立入りが困難な場所であるため、現場作業を安全かつ効率的に行うこと、また、画像解析作業においては、数千枚になる大量のデータを処理する必要があることに加え、処理された3次元データの活用方法について課題がありました。
作業を安全かつ効率的に実施するために、以下のような工夫を行いました。

  • ①事前に現場へのアクセスルート、離着陸場所の確認およびGNSS衛星の受信状況を確認し、危険な箇所は安全ロープの設置を行い、作業員の安全を確保しました
  • ②短時間で位置情報の取得を行うためにGNSS測量機を用いたネットワーク型RTK法により、作業の円滑化を図りました。
  • ③画像合成処理は専用のソフトを使用し、2台のPCによる同時並行処理により処理時間の短縮を図りました。
  • ④3次元データから比較図を作成し、堆積・侵食状況が確認できるようにしました。また、従来の平面図・縦横断図を作成し、計画検討に資する基礎資料としました。

UAVを活用した測量の今後について

本業務では、空中写真撮影により3次元点群データを作成しましたが、今後は、UAVにレーザスキャナを搭載することで、より迅速かつ高精度の点群データを直接取得することに挑戦します。ただし、そのためにはより大型のUAVの運用が必要となります。
また、UAVは様々な分野での活用が検討されています。測量においても比較的容易かつ安価に空中写真の撮影を行うことができるため、今後は多くの場面でUAVを使用したいと思います。
UAVの普及に伴い、今後は更なる安全な運航と公共測量をより円滑に実施する事に努めていきます。

 

提案方法の実施結果について

本業務に必要な基礎資料作成にあたり、従来のTSによる測量計画では、現場作業7日、図化作業3日の計10日程度必要となるのに対して、UAV使用による作業では、現場作業2日、図化作業5日の計7日で作業を終えることができました。
結果として、現地作業の時短が可能であり、従来の測量作業に比べて約3割の期間短縮を実現することができました。また、UAVで行うことにより作業員が危険な場所へ立入るリスクを軽減することができました。

技術者としての思い:今後の展望について

自分でも趣味でドローンを飛ばしていたので、その経験を生かすことができました。
空中写真測量は、今までは航空写真測量会社の世界でしたが、UAV及びGNSS測量機が普及したことにより、これからは当たり前のものになると感じています。
今後のUAV・処理ソフトウェアの性能向上に期待し、マニュアルの適切な運用に努め、今後もUAVによる測量を安全かつ効率的に行い、社会に貢献していきたいと考えています。

蟹瀬 明弘

建設コンサルタントに従事して22年。これまで河川、道路、海岸、鉄道測量等に従事。近年では、i-Construction対応としてUAVによる3次元測量に取組み、測量技術の幅を拡げて技術力向上を目指す。
昭和50年生まれ、富山市在住。

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