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トンネル点検でストックマネジメント

ENGINEER’S VOICE Vol.5

トンネル点検でストックマネジメント

「社会資本メンテナンス元年」私たちが担うインフラ総点検の重要性

危険性を未然に防ぐための
技術力向上は、私達の使命。

保全技術・構造系グループが担当するトンネル点検業務とは?

インフラの長寿命化計画を実現するために、点検作業は喫緊の重要事項となっています。ここでは、最近実施しましたトンネルの点検について、紹介いたします。

トンネル点検では、叩き点検での打音検査(聴覚)による診断が重要視されます。叩き点検(打音検査)とは、トンネル覆工のコンクリートをテストハンマーで叩き、音の違い(高温、低音、濁音)でコンクリート内部のうき、はく離及びコールドジョイントを見付け出す検査です。これらの損傷は第三者被害に対する影響が大きい損傷と位置付けられている為、打音検査は重要な検査となります。

目で見える損傷については、過去の損傷事例や写真といったものにより推察可能ですが、打音については現地で叩いて、耳で聞き分けるなどの経験の積み重ねが重要になります。打音検査については様々なトンネルの覆工を叩いて、耳で聞き分ける力を養っておく必要があります。

私(高瀬)が、初めてトンネル点検を行ったのは今から15年以上前になります。
1999年6月に起きた山陽新幹線福岡トンネル側壁崩落事故での全国のトンネル緊急点検が初めてのトンネル点検でした。この緊急点検は、トンネル覆工での施工不良(コールドジョイント)などの劣化損傷が新幹線の振動や経年により進行し崩落事故が発生したため、コールドジョイント及びうきの損傷を叩き点検(打音検査)で点検し、事故を未然に防ぐことが目的でした。

結果、自分が点検・調査を行ったトンネルで、コールドジョイントが発見され、最終的に補修工事を行うこととなりました。トンネル点検は橋梁点検と違って、打音検査(聴覚)によってうきを見つけ出す作業が最も重要となります。また、交通規制設置・解除、トンネル点検車の運転・操作及び点検作業等を限られた規制時間内で行うこととなります。

トンネル点検に対する想い

コンクリート構造物の耐用年数は、目安として50年と言われてきました。全国のトンネルで建設後50年以上経過したトンネルは、全体の約18%になります。また、10年後には30%、20年後には約45%に急増することとなります。しかし、インフラの維持管理及び補修・補強を行うための費用が増加するにもかかわらず、実際には予算が十分確保できない状況にあります。

今回インフラ総点検でトンネル点検を行うことになったきっかけは、昨年末に起きた中央道笹子トンネル天井板崩落事故です。適切な点検方法で正確な点検を行っていれば、痛ましい事故を未然に防げたかもしれません。

第三者被害を及ぼす危険性を一つでも多く回避し、市民が安心して既存のインフラを利用し続けることができるよう適切な点検を行うことが点検者(技術者)に課せられた使命だと思います。そのためには、インフラの適正な点検及びジャッジ(診断)が出来る技術力の向上が必要であると思います。また、第三者被害を未然に防ぐために点検を行っていますが、点検時における交通規制での第三者災害の防止や点検作業時の墜・転落災害、点検車の規制帯からのはみ出しによる接触事故等の安全対策についても配慮が必要だと思います。

高瀬俊介

前職では約22年間設計、営業、工事とオールラウンドプレーヤーとして携わり、平成24年にNiX JAPAN 株式会社に入社。平成25年5月から過去の実績を生かし、インフラ点検業務に従事。
昭和45年 富山県下新川郡入善町出身 石川工業高等専門学校土木工学科卒業

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