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小水力発電で低炭素社会づくり

ENGINEER’S VOICE Vol.4

小水力発電で低炭素社会づくり

環境への貢献と地域を担う小水力発電エネルギー

次世代を担う小水力発電。
小水力発電の魅力を広く発信!

小水力発電とは?

水力発電そのものが、CO2など温室効果ガスを排出しない特徴を持ち、地球温暖化防止に貢献するクリーンなエネルギーとして見直されています。その中でも出力1,000kW以下の比較的小規模な発電設備を総称して「小水力発電」と呼びます。

小水力発電は、身近な水流を利用して発電を行うことが可能であり、
小水力発電ならではの以下の特徴が挙げられます。

  • ・既設の水利施設 (農業用水施設や上下水道施設など)を利用することが可能で、周辺の生態系に及ぼす影響も小さく、環境に優しい発電所となります。
  • ・発電した電気を地域社会や各種事業に利用することによって、町づくりや地域の活性化への貢献や施設の維持管理費の軽減を図ることができます。

小水力発電を導入するには?

小水力発電の導入までには、右図のようなステップごとの検討を踏みながら実施していく必要があります。
この中で、発電計画の基本諸元設定を行うステップである「STEP.3 基本設計」の段階でのポイントを整理します。

1. 発電使用水量

発電使用水量は、取水する河川・水路等の流量観測で得られた過去の実測流量や対象用水路の代掻期流量及び、水車の流量変動範囲を踏まえ、設備利用率の高い効率的な発電使用水量を設定することがポイントになります。

2. 最適ルートの選定

発電に必要な有効落差確保のため、縦断的な総落差を極力確保することが有効ですが、平面的な導水管敷設ルート上の土地利用・地形特性・施工性と同時に損失水頭を極力低減するルートを選定することがポイントです。地形測量などで対象区域の状況を十分に調査・把握することが重要です。なお、有効落差は、”取水位−放水位”の総落差から損失水頭を差し引くことで求めます。

3. 水車の選定

水車形式の選定は、構造、適用範囲、諸特性・開発動向を踏まえ、有効落差と使用水量を基本諸元として、水車形式を選定する必要があります。農業用水路などでの低落差・低水量の場合には、「投げ込み式水車」などが適用可能水車として選定されます。(下図参照)

4. 発電計画収支予想(CF)算定

最適発電規模の決定は、①発電使用水量、②ルート選定、③水車選定 以上3項目からなる年間想定発電量(kWh)をベースに売電収入を試算し、初期投下資本(建設コスト)と年経費(人件費・修繕費等)を考慮し、約40年間の発電計画収支予想(キャッシュフロー)を行います。一般に農業用水利施設発電設備では、kWh当りの建設単価は350円/kWh以下が目安となります。キャッシュフローにより長期に渡る発電計画事業の黒字化判断を行うことは極めて重要です。なお、発電計画の事業実施可否の判断を行う上で、最適発電規模での費用対効果(B/C)1.0以上を確認することも重要です。

小水力発電に対する想い

東日本大震災後、FIT制度の導入により太陽光発電を初めとする再生可能エネルギーの普及が全国的に進んでいますが、小水力発電の占める割合は極めて少ない状況です。

豊かな山々からの恵みである”水”を利用した小水力発電は、河川流域全体の恩恵により、我々の日々の生活に必要な電力というエネルギーを生み出しています。自然豊かな流域の保全を図り、地域資源を活用する小水力発電の魅力を、包蔵水力全国2位を誇る富山県から全国に発信していくことが大切と感じます。

篠島清隆

一級土木施工管理技士、測量士 水系業務に従事して17年。
これまでの豊富な経験を活かし、小水力発電をはじめとした新エネルギー事業に取り組む。
昭和50年 富山県射水市出身 富山県立大学短期大学部農業技術学科卒業

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