2020年8月28日

3カ年中期経営計画における新たなフレームワーク

 CSR経営と言われてから久しく経ちますが、当グループは43期からの3カ年中期経営計画においてCSV経営という概念を導入しました。CSV経営とは企業の競争戦略を専門とするアメリカの経済学者マイケル・ポーター氏が2006年、ハーバードビジネスレビュー誌の12月号に「Strategy and Society」と題する共著の論文の中で初めて提唱した経営戦略のフレームワークです。Creating Shared Valueと言い、日本語でいうと共通価値の創造といったところでしょうか。社会課題を解決することで、経済的価値を同時に増大する、すなわち自社のビジネスに社会課題解決を組み込み、その課題解決がそのままビジネスとなり、そこから対価(収益)を得る、ということです。
 CSR(Corporate Social Responsibility)は、社会貢献に主眼を置いており、企業が生み出した利益の範囲の中で実行されることから、その企業の業績やCSR予算に制限されます。CSVでは経済的便益と社会的便益の両立を目指しており、企業の予算全体の基盤を構築するものとなります。
csv経営1
 現在どの企業も実施しているSDG’sもこの考え方に包含されるものとも言えると思います。このようなCSV経営の概念を当グループの3カ年計画に適用し、次の社会課題解決を掲げました。
・地域社会インフラ強化(建設コンサルタント事業)
・インフラ技術者の雇用維持、技術伝承(M&A)
・再生可能エネルギー普及による脱炭素化貢献(国内発電事業)
・新興国の経済成長に伴う電力需要解消(海外発電事業)
 当然いずれも当グループが取り組んできた事業でありますが、そこにCSV経営のフレームワークを適用し、事業そのものを成功させることで、社会的課題解決と経済的価値を同時に良化することになることを改めて定義させていただきました。このフレームワークで改めて当グループの事業を見ると、建設コンサルタント業は当然そうなのですが、M&Aや海外発電事業も社会課題解決事業であることが明確になりました。
csv経営
 どの企業の事業も大半は社会課題解決に関連していますので、当然の内容かとは思いますが、建設コンサルタントのような公共性の高い事業を実施している立場であればあるほど、このようなフレームワークで自社事業を定義することは、日々の仕事の意義を実感する上でとても大切なのではないかと考えます。
 一方で、CSV経営には、社会課題解決と企業利益の相関において、その関係性が解明されていない、不明瞭であるという批判も根強くあるようです。確かに経営科学的にこの相関を定量的に証明することは難しいかもしれません。そうであるからこそ、NiXグループはこのフレームワークにより収益を向上させることで、定量的な相関の証明とはなりませんが、ケーススタディとしての題材には成り得ると考えています。そのためにも43期からの3カ年中期経営計画の達成に向けて日々努力したいと思います。

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プロフィール

市森友明 (技術士 建設部門・総合技術監理部門)

株式会社新日本コンサルタント代表取締役社長。京都大学工学部卒業後、大手ゼネコン勤務を経て、2003年に入社。技術部長などを経て2006年7月から現職を務める。