NiX JAPAN株式会社 NiX JAPAN株式会社

2022年1月7日

2022年 「両利きの経営」を深化させたい

 2022年がスタートしました。2021年を振り返りますと、まずはグループとして、新たに数社加わっていただいたことや、東京オリンピックでの実績、建設フェアでのDX、BIM/CIM商材のPR等、新たな展開につながる実績を積むことが出来たと考えます。一方で、成果が明確に表れているとは言えず、準備段階に費やした1年であったと考えられ、本年にその成果を示すことが出来るか否かで、昨年の取り組みの価値が示されるのであろうと考えています。また、本年は国内1カ所と海外1ヵ所で水力発電所が完成し、発電が開始されます。これでグループが所有する電源は国内外で5カ所となりますので、中長期的には10カ所を目指していきたいと考えています。

 本年、グループの皆様に対する挨拶としては、「両利きの経営」の話題を昨年に引き続き話題に取り上げさせていただきました。「知の探索」、「知の深化」の理論とも言われますが、1991年にジェームズマーチにより提唱されました。この経営理論には、示唆に富む内容が多く含まれており、私自身、マネジメントを実行していくうえで、役に立っています。「役に立つ」とはどのようなことかと言いますと、当グループの経営を言語化、あるいはフレームワーク化、もしくは理論化しやすい、ということです。どのような経営かといいますと、既存のコンピテンシーを活用しつつ、新たなコンピテンシーを開拓し、その両論を回し続ける、ということになると考えます。多分、どの企業も程度に差はあるものの実践されていると思いますが、基本的にこの2つを同時に追求するにはある程度の経営資源が必要です。どちらか一方を優先すれば、片方がおろそかになります。特に保守的な業界では、既存のコンピテンシーの活用、すなわち「知の深化」に傾倒するものと思われます。確かに、「知の探索」には経済的、人的、時間的にコストがかかり、本業収益を見た目上は圧迫します。しかしながら、このジレンマを解決している企業が成長できることは、過去の事例が証明しており、昨今の不確実な世の中の情勢からすれば、余計にそのように思えてきます。このようなことから、当グループでは、各事業領域における取組を、探索と深化の両軸に配置し、各取り組みの合成ベクトルが、我々の社是である、“強み「X」”になると定義しています。スクリーンショット 2022-01-07 111121 

 上図に示されるように、知の探索は「変化、リスクテイク、実験」と記載のある通り、時には経営上、大きなリスクになり得るものであります。一方で、知の深化は「精錬、選択、生産、効率」であり、既知のものを深堀りする取り組みであり、企業にとっては通常活動の延長として、取り組みやすいものであると考えます。もちろん、知の深化はプロフィットを生み出す中核であり、これをおろそかにしては経営が成り立ちませんので、最も重要な取り組みです。一方で、プロフィットを生んでいるビジネスはいずれ賞味期限が来ますので、その時のために知の探索が必要になってきます。他企業の経営者や経営企画の皆さんは、自社の経営をより高度なフレームワークや理論で語ることが出来るのかもしれませんが、私自身のレベルで当グループの経営を表す上では、非常に親和性が高い理論であると考えています。

 また、限られたリソースで2つの取り組みを同時進行することになりますが、当グループでは、経済的、人的にコストがかかる「知の探索」は、グループの基幹企業である「NiX JAPAN」や「ニックスニューエネルギー」が実行し、その知を既知化し、かつ収益化したのち、グループ企業の皆様に分配することとしており、役割を明確化しているつもりです。従って、グループ企業全体で、知の探索に要するコストを生み出し、それを基幹企業が受け止め、既知化していかなければならないわけで、基幹企業がグループ全体の成長に果たす役割は、大変重要であるということであると考えます。

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 2022年、NiXグループは、両利きの経営の度合いをさらに意識しつつ、一歩一歩着実に歩んでいく所存です。本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

プロフィール

市森友明 京都大学博士(経営科学)
技術士(建設部門・総合技術監理部門)

NiXグループ代表、NiX JAPAN 株式会社代表取締役社長。
京都大学工学部卒業・同大学経営管理大学院博士後期課程修了。

大手ゼネコン勤務を経て、2003年に入社。2006年7月から現職を務める。国内社会インフラの計画・設計、都市計画、小水力発電開発、およびインドネシア・シンガポール現地法人にて、再生可能エネルギー事業(水力・メガソーラー)を実施中。

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