筆者は昔は地下構造物の技術者でした。
地下構造には様々なものがありますが、代表的なものは地下鉄でしょう。
下の写真は東京のとある地下鉄駅ですが、写真を見て何か気付くことがないでしょうか。
駅の壁がトンネルの円形の形状になっています。
すなわちこの駅、上から開削で作ったのではなく、3連マルチシールド工法というもので作られています。3つのカッター円を持つシールドマシンで上り線、下り線、ホームを一気に掘削してあるのです。
10年以上前に施工されたと思いますが、当時は画期的な新工法でした。
最近の地下鉄は、都市部における地下構造物が輻輳した箇所に建設されるため、駅一つ一つに最先端の地下技術が導入されているのです。
皆さんは何気なく駅を使っていると思いますが、我々技術者はそんな変なところばかりに目が行ってしまうのです。
さて、そんな地下鉄ですが、日本での建設は最終段階に入っています。
金沢でも一時地下鉄建設の計画があったそうですが
(現に金沢駅の地下は地下鉄が通るように準備されている)
よほど経済が上向かない限り、次の段階の整備はないでしょう。
日本の地下鉄技術は現在東南アジア諸国で活用されています。
なんだか少し寂しい気がしますがこれも時代の流れでしょうか。
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NiXグループ代表、NiX JAPAN 株式会社代表取締役社長。
京都大学工学部卒業・同大学経営管理大学院博士後期課程修了。
大手ゼネコン勤務を経て、2003年に入社。2006年7月から現職を務める。国内社会インフラの計画・設計、都市計画、小水力発電開発、およびインドネシア・シンガポール現地法人にて、再生可能エネルギー事業(水力・メガソーラー)を実施中。