NiX JAPAN株式会社 NiX JAPAN株式会社

2013年2月17日

小水力発電の意義(全国小水力発電サミット岐阜にて)

全国小水力利用推進協議会主催、第3回全国小水力発電サミットin岐阜が開催されました。
筆者は富山県小水力利用推進協議会副会長を務めており、その関係で岐阜大会に出席です。昨年の第2回は宇奈月で開催され、弊社もブースを出展しましたが、今回はお休みです。

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さて、小水力発電のメッカ、岐阜県での開催ということもあり、全国から大勢の小水力関係者及び一般市民が参加されていました。
明らかに宇奈月大会よりも参加人数は多いでしょう。さすがは包蔵水力全国No.1の岐阜、関心の高さがうかがえます。
また、講演や発表内容も、会を追うごとに具体的な事例が増えてきており、小水力発電施設が全国的に着実に増えていることが示されています。

弊社はコンサルタントとして、小水力の設計をビジネスとしていますが、御存知の通り、設計者の枠組みを超え、事業者になろうとしています。
計画も着々と進行中なのですが、小水力の技術や事例もどんどん進化するので、このようなサミットでの情報交換は貴重な資料になります。
今回も多くの方々と交流ができ、多くの有益な知見をいただきました。ありがとうございました。

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(日本小水力発電のブースでは弊社設計の発電所も紹介されていました)

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(分科会では実際の事例や民間による発電の計画事例が増えてきました)

小水力は今まではどちらかと言えば、ビジネスというよりも市民参加型の地域貢献であるとか、出力が数キロワット程度のもの、自家消費使用であるとか、行政が環境教育のために導入したとか、そういった柔らかいものが中心でした。
関係者の皆様もどちらかと言えば、NPOや地域ボランティアなど、草食系??の方々が中心で、地域のエネルギーを利用して、その収入を地域振興に活用しようという、ある種公共性の高いモデルでした。
一方で、我々NiXはNPOでもボランティアでもありません。ましてや税金を使う行政でもありません。設計であれば、要求スペックを満たすように設計するビジネスになりますが、後の運営に関して深く携わることはありません(あくまでこれが本業ですが)。
今、我々はボランティアでもNPOでもなく、設計者かつ事業者として小水力に挑んでいる訳であります。当然のことながら、ビジネスとしている以上、利益を上げなければなりません。ですので、このサミットに多く参加しておられる、一般の小水力好きの方、またNPOなどで収益は二の次にされていらっしゃる方々とは根本的にスタンスが違います。
ですから、毎回のことですが、地域活性化のための小水力と言われても、少し順序が逆なんじゃないかなぁ・・と不謹慎ながら感じているわけです。ビジネスに限らず、世の中のほとんどのことは、お金の循環ができてこそ成り立っています。
そういうことで、弊社のスタンスは、まずはしっかりと収益の見込める発電モデルを立案し、そして収益をしっかりと得ることにより、初めてその売電収入を地域に分配することが可能になると考えており、またそのようなモデルであることが、小水力発電事業には必要不可欠だと考えています。
そのような考え方に立っているからこそ、小水力発電と真剣に向き合うことができるのです。
さて、今回のサミット、そういう意味では事業者として、そしてビジネスとしてといった内容が増えてきたような気がします。やはりFIT制度の導入が大きいのでしょうか。

また、小水力発電の技術者が全国でも少なく、それが事業推進の妨げになっているとのお話もありました。全国の水力発電は、最近まで大手電力事業者(いわゆる○○電力)の独壇場でした。また電力行政も水力よりは、火力、そして原子力ということで、水力開発が近年まで停滞していました。
このようなことから、水力発電の技術リソースは一部電力関係者の年輩技術者に偏っており、技術の伝承がうまく実施されていないようです。国のエネルギー政策上、今までは、火力・原子力が優先されてきました。
筆者の個人的な見解では、それは必然だと思っています。しかしながら、エネルギー安全保障といった観点でとらえた場合、国内資源でのエネルギー開発ということが、この不安定な世界経済、そして歪なグローバル社会化が進んだ昨今では、国家施策の中で最も重要ではないかと考えています。LNGは輸入できなくなったら終わりです。またそのことが外交のカードに使われます。
このようなことからも、原子力と水力といった純国産のエネルギー開発をより進めることが、今後とても大切になると一国民として思います。
たかが小水力ですが、国産エネルギーの水力の一部です。そして小水力発電事業普及のためには、技術者が育つ必要があります。そのような意味では、弊社はその流れに運よく、かついち早く乗ったのではないかと考えています。
また技術者が育つには、その技術者の技術が企業ビジネスとして成り立つ環境が必要不可欠です。
以上のような観点からも、弊社の発電事業がビジネスとして成功する意義は極めて大きいと、個人的には考えています。弊社の社是は「社会資本整備への創造力で、日本の成長に貢献する」です。
小水力という、発電量からすれば本当に微々たるものですが、その発電施設をビジネスとして成功されることは、国家のエネルギー安全保障上、幾ばくかの貢献となり、国土強靭化へもつながるものであると考えています。

さて、思いとは別に、発電事業参入の道のりは、長く険しいものです。諦めずに、初心貫徹、NIXは一歩一歩進んでいきたいと考えています。

会の最後に寄り道をして、釜戸小水力発電所を見学。水道局の皆様、ありがとうございました。

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同行した富山県小水力利用推進協議会のメンバーの皆様、おつかれさまでした。

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プロフィール

市森友明 京都大学博士(経営科学)
技術士(建設部門・総合技術監理部門)

NiXグループ代表、NiX JAPAN 株式会社代表取締役社長。
京都大学工学部卒業・同大学経営管理大学院博士後期課程修了。

大手ゼネコン勤務を経て、2003年に入社。2006年7月から現職を務める。国内社会インフラの計画・設計、都市計画、小水力発電開発、およびインドネシア・シンガポール現地法人にて、再生可能エネルギー事業(水力・メガソーラー)を実施中。

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