NiX JAPAN株式会社 NiX JAPAN株式会社

2018年10月31日

地域発極地型グローバル人材の育成を

最近よくグローバル企業という言葉が使われますが、弊社はどちらかというと、グローバルではなくローカル企業の部類と思われます。冨山さんの著書に「GとLの世界」というのがあり、グローバル企業とローカル企業はそもそもどちらが良い悪いの問題ではなく、種類の違いであり、経営戦略そのものが違うとおっしゃっておられます。その通りであると思います。グローバル企業の戦いはオリンピックで金メダルを取る戦い、ローカル企業は県大会でメダルを取る戦い、といったところでしょう。結果としてグローバル企業は激しい競争とプレイヤーチェンジの波に常にさらされ、結局は大手3社に集約していくということです。最近のアマゾンやグーグル等のIT系の企業の巨大化を見ているとまさにそう思います。一方でローカル企業は地域の中で限られたマーケットに根付いて、信頼関係の上に寡占化を図り生きていくということです。グローバル企業がこの地域のマーケットに入り込むことは効率性の面でも不可能だということで、そもそも土俵が違うということになります。グローバル企業やグローバル人材は弱肉強食マーケットの中で、日々激しい競争を繰り返し、他を圧倒することで生き延びているとも言えるでしょう。その分その成果に対する報酬も圧倒的なものになると思われます。一方でローカル企業はある程度固定化したシェア率のマーケットの中で、同業他社や地域との関係を重視してある意味協調的に商売を行っているということでしょう。その中で地域NO.1企業という各業界の代表が存在していくということです。 さて、今年の初めになりますが、新聞社様主催のパネルディスカッションで、北陸の企業の魅力を中堅企業の立場から意見をするパネラーの役目を務めました。その中で、海外で活躍したい人にとって北陸で仕事をすることに不安はないのか?といった設問がありました。一般論ですが、就職先を選ぶ際にそもそも海外でグローバルに活躍したいと思う学生さんたちは、やはり大手商社や外資系金融機関、大手製造メーカーなどを趣向するでしょう。すなわち東京に本社がある大企業にを目指すことになります。 地方に就職される学生さんは、どちらかといえば地域に密着して働きたいという希望を持たれている方が多いと思います。ようはグローバル人材のようなリスクによるリターンよりも、安定した人生を好むということでしょうか。 一方で昨今日本の人口減少問題等もあり、地方にいてもやはりこれからは海外でビジネスをしないと将来がないのでは?と思う人が増えているように思います。そのような方々は当初グローバル企業を目指さなかったことを後悔しているかもしれませんし、漠然と不安を抱いているかもしれませんが、どうでしょうか? 私はそのパネルディスカッションで以下の図を使い、次のように説明しました。補足資料(市森) 特に北陸の企業はメーカー系製造業を中心に大きい企業は殆どが海外に生産拠点をもっており、海外で働く機会を創出できる環境にあり、昔に比べると海外に出ていくチャンスが山ほどあります。またそういう機会を活用して特に東南アジアを中心として活躍しているローカル人材が多数いること、また富山は特に行政が企業の海外進出を支援しており、海外進出のポテンシャルが非常に高い県であることもあります。ということで、就職先を選択した時のグローバル、ローカルに限らず、今からでもグローバルで働ける環境があるというこです。例えば当社はインドネシアをはじめとした東南アジアで水力開発事業を行っており、現在も多くの社員がその事業に携わり、元々ローカルであった社員がグローバルの領域も持つようになっています。私はこのような人材のことを 「地域発極地型グローバル人材」 と呼んでおり、弊社をはじめとしたローカル企業にはそのような人材を育成できる場があると考えています。就職選択時の判断に関わらず、グローバルで働けること、さらには意外とローカル企業の方が 「地方の安定」と「海外での躍動感」両立できる、または「選択の多様性」 が存在していると思います。すなわち就職時の選択はさほど重要ではなく、今は就職後に「選択の多様性」があるということです。今後の地域コンサルタントにはこのような「選択の多様性」が重要になると思いますし、そのような環境が社員を育てていくと考えています。また我々の本社がある富山は空港が市内から近く、羽田トランジットであっという間に海外です。意外と関東近郊の方々よりも利便性が高いかもしれません。また弊社は上野に東京本社がありますので、羽田や成田のアクセスにワンクッションおくこともできます(私も利用してます)。地域企業あなどることなかれ、ですか(笑)。いずれにしても色々な環境があることは企業にとっても社員にとっても重要だと思います。NiXは今後も「地域発極地型グローバル人材」の育成に努めていこうと思います。

プロフィール

市森友明 京都大学博士(経営科学)
技術士(建設部門・総合技術監理部門)

NiXグループ代表、NiX JAPAN 株式会社代表取締役社長。
京都大学工学部卒業・同大学経営管理大学院博士後期課程修了。

大手ゼネコン勤務を経て、2003年に入社。2006年7月から現職を務める。国内社会インフラの計画・設計、都市計画、小水力発電開発、およびインドネシア・シンガポール現地法人にて、再生可能エネルギー事業(水力・メガソーラー)を実施中。

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