2014年9月2日

建設コンサルタントの経営評価について

NIXテクニカルレポート2014を発刊させていただきました。恒例となっている藤井聡内閣官房参与・京都大学教授にも快く寄稿していただきました。ありがとうございます。

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藤井内閣官房参与ですが、8月31日放送のNHK日曜討論に出演されていました。広島の土砂災害を受けての番組でしたが、堂々とインフラ整備の必要性を訴えておられました。国土強靭化は必要であり、それにはある程度の予算が必要であると。砂防ダムの整備率が全国平均で22%ということであり、その22%を高いと評価するか低いと評価するか、普通の人間が冷静に判断すると、高いという評価にはなるはずが無いであろうと。他にも地震災害などが迫っており、今こそ防災・減災に向けて予算が必要であり、国土強靭化は喫緊の政策であると。もっともなご意見です。今回のテクニカルレポートでは、「今、求められているインフラ政策の大方針」と題し、建設業の供給力について述べられています。これは財務省筋が発言している、公共投資を増額しても供給力不足により予算執行できず、積極財政としての効果が現れにくいという意見に対し、楔を打つ内容となっています。また供給力を増やすためには、建設労働者に対し、適正な賃金が与えれる環境整備をすることが必要不可欠であると述べられています。詳しくは弊社ホームページをご覧ください。https://www.shinnihon-cst.co.jp/company/report.htmlall_ページ_03

藤井先生の訴え等もあり、建設業の待遇改善の機運が高まっています。品確法も中長期的な担い手確保を目的に改正されました。私は、藤井先生の投稿を受けて、では無いのですが、常日頃から建設コンサルタントという業種について、他産業と比べて経営や社員の報酬がどのような位置にあるのか興味を持っていましたので、「建設コンサルタントの経営評価」と題し、投稿させていただきました。これも詳しくはホームページをご覧ください。all_ページ_13

データの取得の関係から、比較対象は有価証券報告書が公開されている東証一部上場企業に限っています。建設コンサルタントでも、上場企業と我々非上場企業ではかなり内容に差はあるとは思いますが、業種通しの比較としては参考になると考えています。内容はたいしたことはありませんが、このような経営数値と年収等を比較して文章にしたのはおそらく私が始めてではないでしょうか、(結構微妙ですが・・・笑)。

私は以前から社内においてこのような比較数値を社員に公表してきました。コンサルタントの技術業務もそうですが、数字は絶対評価だけでなく相対評価が必要なのです。隣の木は青く見えるというように、世の中の価値観は比較で決まっていると考えています。現在の自分たちが世の中の企業の中でどのようなポジションにいるのか知ることはとても大切です。その評価によって、自分は恵まれていると思ったり、きわめて不遇だと思ったりすることに対し、漠然とした考えではなくある程度根拠付けができると考えています。弊社の社員には福利厚生等の数値を変更するときは、必ず他社、なるべくなら同種企業との比較を示すことが必要であると言っています。現在ではようやくそのようなやり方が定着してきました。

さて、簡易的ではありますが、経営比較評価して改めて思ったことは、まずは建設コンサルタントはサービス業特有の特徴があり、一人当たりの売上げ高や純利益額が他産業に比べて低いということです。文中にも書いていますが、これは悪いことではなく、製造業に比べて大きな設備を持たず、また外部委託も少ないことから経営の柔軟性が高いという利点もあります。ただやはり、ビジネスは投資でありますので、投資の原資という意味では、売上げ規模が小さいことはハンディになります。やはり、サービス業だけではなく、装置産業を併せ持っていくことも必要かと考えます。弊社では以前からこの建設コンサルタントの課題に気づいていましたので、グループ内の子会社2社において飲食事業という装置サービス産業と発電事業という純粋な装置産業を実施しています。コンサルタントというサービス産業が生み出すキャッシュフローに装置産業が生み出す高効率なキャッシュフローを組み合わせ、サービス業と製造業の両方の利点をあわせ持つということでしょうか。このような取り組みは大手コンサルタントでも始まっており、やはり発電事業が多いようです。

次に、報酬ですが、これは建設コンサルタントというよりは、ゼネコンを含めた建設業全体がやや他産業に比べて低めであるというデータになっています。各社のデータは平均年齢等の問題もありますので、一概にそのまま比較ということはできないと思いますが、やはり商社系の年収がずば抜けて高いことがあらためてわかりました。但し彼らは若いときから死ぬほど働いて、体がボロボロになっている人も少なくないと聞きます・・・(商社の友人から聞いています・・・中東から未だに帰ってきません・・・)。報酬については各社の数値の相対的評価だけではなく、仕事のやりがいや労働時間、労働環境やその人の人生観なども加えて評価しなければいけないでしょう。しかしながら、その企業の社会的地位を図る上で、一定程度のバロメーターになると思っています。

建設コンサルタントは今後、その事業規模をいかに拡大し、投資原資をより多く確保し一般装置産業のビジネス展開モデルに近い動きができるか否かがポイントになるでしょう。最近ですが、建設コンサルタントの雄、日本工営は英国のハイダー買収工作を実施しました。日経新聞で買収記事を拝見したときには、いよいよ我々コンサルタント業界の中から買収で世界展開する会社が出てきた!と、いささか興奮しました、笑。その後買収交渉はオランダのライバル企業の出現により暗礁に乗り上げているようですが、なんとか頑張ってほしいものです(ガンバレ日本工営!オランダに負けるな)。

我々NIXは・・・?一応、規模拡大、そして装置産業とサービス業のベストミックスに向けてまい進中です。当然報酬も業績に応じて拡大中であります。藤井内閣官房参与のいう、建設業界の待遇改善に、微力ながら貢献していきたいと思います。

プロフィール

市森友明 京都大学博士(経営科学)
技術士(建設部門・総合技術監理部門)

NiXグループ代表、株式会社新日本コンサルタント代表取締役社長。
京都大学工学部卒業・同大学経営管理大学院博士後期課程修了。

大手ゼネコン勤務を経て、2003年に入社。2006年7月から現職を務める。国内社会インフラの計画・設計、都市計画、小水力発電開発、およびインドネシア・シンガポール現地法人にて、再生可能エネルギー事業(水力・メガソーラー)を実施中。

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