2012年8月2日

○○電力子会社によるデフレスパイラル

(社)◯山県測◯設計◯◯会なる業界団体がありまして、筆者は理事を務めています。
下の写真は7月に行った、◯山県土木部への要望の様子です。

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土木部長以下、幹部の皆様にご出席いただきました。ありがとうございます。

要望内容は、業界の健全な発展のため、県内企業への優先指名や低価格入札の抑制をお願いすることが中心です。
一見、自由競争社会で何やらカルテルっぽくイメージされやすいですが、公共投資にかかわっている業界としては、随意契約ではなく発注者主導の競争入札で受注することがほとんどでありますので、その発注の環境を整備していただくために、毎年このような要望を行っています。

公共投資といっても財源は国からの補助金だけでなく、地域から拠出される財源も含まれていますので、やはり地域経済の発展のためには地元企業で仕事をし、それを雇用や税金のような形で還元するといったことが大切になってくると思います。なんでもかんでも安ければいい、地元じゃなくて県外の企業でもいい、といった考えでは、地域経済はまわらなくなってしまいます。
地域経済が疲弊すれば、いずれ大都市や日本全体も疲弊しますので、完全な民間取引だけの企業から見れば不思議に思われるかもしれませんが、公共投資という性質上、ある程度の配慮は必要になってくるのです。

さて、毎年の要望の結果、地域企業への発注量は少しずつ増加しています。
一方で現在問題となっているのが過度のダンピング行為です。
数年前から価格低下が始まり、現在では2年前よりも平均落札率が20%程度低下してしまいました。
元々公共事業だから、相当高めなので、20%程度落ち込んでも大丈夫だろう???との声が世間から聞こえてきそうですが、そんなことは全くなく、元々の予定価格が高くありませんので、それなりの落札率で受注しないと、様々な会社経費が捻出できません。
むろん、会社や社員の報酬を現状維持もしくは削減しながらであれば、低価格による入札を続けていくことはできますが、それでは会社として必要な新卒採用や人材育成費、次の事業への先行投資などの経費が捻出できないのです。この経費が捻出できないということは、会社として成長しない、もしくは衰退することを意味しています。
ではなぜ低価格入札が横行しているのでしょうか。それは1社、とてつもなく価格競争力の強い企業が存在するのです。それは天下の◯◯電力の子会社となるコンサルタントです。その企業が数年前から強烈な価格低下入札を実行し、同業他社もそれに追従するあまり、関連する企業すべての入札価格が低下し続けているのです。まさに○○電力による地域経済に仕掛けたデフレスパイラル攻撃です。
(まあ、本体からも本業の電力が厳しいので、子会社はできるだけ外から受注せよとの指令が飛んでいるそうですが・・・)

その◯◯電力の子会社は、そのすばらしい経営方針で◯◯山県の設計業務の受注を飛躍的に伸ばしました。弊社は◯山県の設計業務の売上に占める割合は比較的低いので、経営上大きなインパクトはありませんが、割合の高い同業他社の皆さんはたまったものではありません。
だったら◯◯電力の子会社以上に価格競争力をつければいいじゃないか。。。との声も聞こえてきそうですが、実際その子会社は親会社から売り上げの80%以上を随意契約で上げており、そこで十分に利益が出ているのです。
残り20%弱の公共市場でダンピングしたところで、もともと低い利益率ですからそうそう経営に影響はしません。
売上も我々企業よりはかなり大きいのですから。一方で公共市場を主戦場とする企業にとっては、ほぼすべての案件が低価格入札になるのですから、経営への影響は計り知れません。弱肉強食です。

しかし、本当にこのような状況でいいのでしょうか???◯◯電力は巨大な民間企業ですが、その企業の性質上、公共的な要素が間違いなくある企業です。
その子会社が公共市場で過度なダンピング行為を繰り返すことは、法律上何の問題もありませんが、道義的に問題があります。
この巨大で公共的要素がある電力企業をバックボーンにして地域の中小企業を公共市場で殺そうとしているのです。
このままでは公共市場はこの会社だけになってしまうような勢いです。
このような節度のない自由競争至上主義の企業主義が地域のある特定市場においてデフレを発生させているのです。

筆者は決して電力会社が嫌いなわけではありません。むしろ現在原発問題で窮地に立たされている電力会社を応援しているくらいです。
大学の同僚や先輩、土木系の仲間も大勢電力会社で働いています。原子力発電もむしろ賛成です。とは言いつつも、その役員が天下りし、社長になった子会社において、自分の経営成績のためにダンピング行為を行わさせることは、決して許すことができません。
ましてやその社長は土木には全く無縁のしかもコンサルティング業務の知識の全くない、土木コンサルタント経営の素人なのですから・・・・。この子会社は自分主義のこのような行為がいずれ地域経済に影響を及ぼし、そして親会社の電療収入という収益そして企業としての評価をおとしめていくということに早く気づくべきでしょう。

「大が小を制する」、いつの時代も繰り返される行為ですが、電力という超安定公共収入を、地域経済を担う中小企業を淘汰させる道具にすることは、間違いなく、間違いなく道義的に問題があるのです。
「コンプライアンスが日本を潰す」・・・どこかで聞いた題名ですが、このようなことが地域経済でも実際に行われているのです。企業は大きくなればなるほど、アメリカ的な新自由主義的な経営を実施しています。経済同友会や経団連の企業も同様でしょう。もしかすると彼らはデフレのほうがよいのかもしれません。世の中徹底的におかしくなってきました。

NiXはこれからも大資本企業に負けないよう、戦います。

プロフィール

市森友明 京都大学博士(経営科学)
技術士(建設部門・総合技術監理部門)

NiXグループ代表、株式会社新日本コンサルタント代表取締役社長。
京都大学工学部卒業・同大学経営管理大学院博士後期課程修了。

大手ゼネコン勤務を経て、2003年に入社。2006年7月から現職を務める。国内社会インフラの計画・設計、都市計画、小水力発電開発、およびインドネシア・シンガポール現地法人にて、再生可能エネルギー事業(水力・メガソーラー)を実施中。

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