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下水道施設のストックマネジメント

管口カメラによる戦略的な点検・調査計画の提案

下水道ストックマネジメントとはどんな計画?

我が国の下水道施設は、高度成長期以降集中的に整備が進められ、今後、施設の老朽化が一斉に進み、それらの改築や修繕・維持管理に莫大な費用が必要となります。

特に、地方の小規模な自治体では、人口減少による使用料収入の減少などが財政状況を逼迫させており深刻な問題となっています。

下水道ストックマネジメントは、下水道サービスを今後も持続的に提供していくために、下水道システム全体を適切に管理、運営していくための計画です。

膨大な延長の下水道管渠を管理、運営するには、中長期的な期間で施設状況を把握・評価しながら適切なタイミングで改築・修繕することが重要です。

また、予算制約下において、リスクが高く優先度の高い施設から効果的に改築することが求められます。

このため、リスク評価による施設の優先順位の設定や点検・調査計画の立案などが必要となります。

①リスク評価(施設優先順位の設定)

下水道管渠の優先順位の設定にあたっては、布設環境による故障時の復旧難易度や周辺環境への影響を『被害規模』指標、経過年数や腐食環境等による故障の発生しやすさを『発生確率』指標として、地域特性を踏まえた評価項目を設定し路線ごとに評価します。
次に2つの指標からなるマトリクス表より『リスク(優先度)』として評価します。マトリクス表については、『被害規模』と『発生確率』のどちらに重みを置くか、複数案検討し、自治体の意向を踏まえ実情に合ったマトリクス表を提案します。設定した優先度は、事業費の平準化や点検・調査順位の設定に使用します。

②点検・調査計画

下水道管渠は、時間経過による施設の劣化状況を点検・調査にて把握できる施設であることから、状態監視保全による管理が求められます。
中長期的な管理、運営を行う上で、速やかに故障を発見し、改築・修繕を行うため、定期的に実施する点検・調査計画を立案する必要があります。
法令で定められる5年ごとに実施しなければならない腐食環境部の調査のほかに、リスク評価を踏まえた点検・調査路線の抽出が重要と考えます。

リスク評価
下水道ストックマネジメント計画による持続可能な下水道施設の管理

下水道管渠の施設管理を効率化するための方法は?

管口カメラ

これまでも下水道管渠の点検・調査は、実施されてきましたが、今後の急速な施設の老朽化に伴いこれまで以上に点検・調査を充実する必要があります。

しかしながら、従来のマンホール内での目視点検やTVカメラ調査では、時間とコストが足枷となってしまうことから、新たな点検・調査方法を採用する必要があります。

当社で導入した「管口カメラ」は、地上からマンホール内部や管路内部(50m程度は見通し可能)を従来の目視点検よりも効率的かつ経済的に点検が可能です。

また、スクリーニング調査を兼ね簡易的に管路内の懸案箇所を把握することで、詳細な管内調査(TVカメラ・目視調査)の必要箇所がピンポイントで抽出できることから、戦略的な維持・管理が可能と考えます。

技術者としての思い:今後の発展性について

平成28年度末現在、富山県内だけでも7,500kmを越える下水道が整備されており、全国的にストックマネジメント計画による持続可能な施設管理が求められています。

今後、点検・調査結果の蓄積による施設の劣化傾向の把握や新技術による点検・調査の実施など、より最適な施設の管理、運営が可能と考えます。

荒井秀和 荒井 秀和 建設コンサルタントに従事して13年。これまで水工系グループとして、下水道施設の設計、BCP計画策定、耐震診断・設計等に従事。近年は、ストックマネジメント計画等の新たな技術分野への取り組みの拡大を目指す。 昭和56年生まれ、富山県富山市在住。

記事作成日:2018年9月