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UAVを用いてストックマネジメント

UAVとKUMONOS適用による点検調査の効率化

今回の業務について

流域保全グループには、小水力等の新エネルギー分野を担うチームと、河川、砂防、海岸、港湾等のハード・ソフトを担うチームがありますが、今回は後述したチームが行った「大野頭首工機能診断業務」について紹介します。

大野頭首工機能診断業務は、独立行政法人水資源機構 豊川用水総合事業部が管理する昭和36年に築造された堤長66.2m、堤高26.0mの大野頭首工について、機能診断調査を実施し、機能保全計画の策定を行ったものです。

大規模且つゲートの操作頻度が高い施設であったため、徒歩等による近接目視以外は、健全度評価の精度低下が懸念される遠方目視、あるいは足場等の仮設材を使用した近接目視が必要となり、調査期間の長期化によるコスト増や安全リスクの増大が懸念されることが課題でありました。

加えて、頻繁なゲート操作により調査可能な期間が限定されるため、調査時間の短縮を如何に図るかも課題でありました。

それらの課題に対して、堰柱・門柱の上部や護岸等、近接が容易でない施設に対して近接目視に代わる機能診断調査方法が必要と判断し、弊社保有の高性能無人ヘリロボット(UAV)とひび割れ計測システム(KUMONOS)を併用した機能診断調査の提案を行いました。

当該施設の中でも護岸のように長大で構造に変化が乏しい施設は、局所的な写真データと位置を特定することが困難です。

そのため、GPS機能による座標管理のほか空撮位置と変状位置を正確に把握できるよう構造物に対し、テープによる位置出し作業を行いました。

その後、UAVによる空撮を行い、変状兆候とされる0.2mm程度のひび割れ幅が確認された2箇所を抽出(スクリーニング)し、KUMONOSによるひび割れ幅と位置を計測しました。

UAV
新技術適用による機能診断調査の提案

提案方法の成果について

成果としては、以下の3点が挙げられます。

① UAVによる空撮はひび割れ状況を写真から判別可能な手段であったこと
② 位置出しにより変状位置を的確に把握できたこと
③ KUMONOSによる定量的評価ができたこと

その結果、近接目視困難箇所が多い大規模施設に対し、遠方目視よりも高精度且つ安全性に優位であり、また、足場による近接目視を想定した計画に対し、約30日の調査期間短縮と仮設費を含む調査コストの縮減を達成することができたことです。

また、本業務は新技術の導入提案等の創意工夫が評価され、豊川用水総合事業部長様より、平成27年度優秀技術者表彰を受賞することができたことも大きな成果であります。

今後は、老朽化施設の更なる増大、少子高齢化に伴う職員数・熟練技術者の減少、厳しい財政状況等、社会経済情勢の変化を鑑み、調査技術の向上等によりストックマネジメント事業へ貢献できるよう、日々研鑽に努めたいと考えます。

提案方法の成果について

UAVについて

提案方法の成果について

高性能無人ヘリロボットにデジタルカメラを搭載し、橋梁などの構造物を対象として撮影を行い、撮影画像を画像処理することにより構造物の健全度診断を行うシステムです。

本システム利用により、従来であれば足場を組む必要がある箇所や人員接近困難箇所の調査が簡単に行えます。

また、大規模災害・堤防、高規格道路の広範囲にわたる全容把握や、ダム・橋梁・のり面の点検管理に、使用して動画・写真撮影を行い、直接立入ることができない場所も容易に飛行することができ、画像伝送装置も搭載しており、地上で映像確認しながら、ピンポイント調査ができます。

撮影だけではなく、画像処理技術にて、ひび割れ分布図や損傷図3Dデータなど様々な成果品が作成可能です。

機体概要

SPIDERは、自律飛行可能な小型無人ヘリシステムです。機体に内蔵されたGPS・ジャイロセンサーにより安定した飛行が可能です。また、地上PCと組み合わせて自動離陸後に設定したルートに従い飛行・撮影し、自動着陸を行います。

SPIDER8アーム
  • 【SPIDER8アーム】
  • カメラ360°回転操作可能+ 前~下向き操作可能+水平維持可能
  • 飛行時間が6枚と比較し短い(10分~20分 搭載重量、温度によって時間差あり)
  • 機体向き一定でカメラを回転させ被写体を捕えることが出来るため、容易に被写体を撮影できる。8アームにより安定した飛行が可能である。
  • ※用途:各種点検、空撮等(高性能3軸ジンバルにより、安定した撮影が可能)
SPIDER6アーム
  • 【SPIDER6アーム】
  • カメラ無回転式 + 前~下向き操作可能+水平維持可能
  • 飛行時間が8枚と比較し長い(10分~30分 搭載重量、温度によって時間差あり)
  • 飛行時間が長いため、余裕を持った撮影が行える。
  • ※用途:写真測量、空撮等(飛行時間が長く、広範囲の撮影が可能)
Phantom2
  • 【Phantom2】
  • 高性能カメラHD画質を搭載し、スマートフォンのアプリを通してカメラを自由にコントロールが可能で、一人で作業ができる。
  • ※用途:空撮、現地踏査写真等(機体が小型で、狭い場所での撮影に適している)
  • 川村 広樹
  • 川村 広樹
  • 建設コンサルタントに従事して15年。これまで主に河川・海岸・港湾業務に従事。近年は砂防や農林分野等、技術の幅を拡げつつ更なる技術力向上を目指す。
  • 昭和54年生まれ、金沢市在住。石川工業高等専門学校卒業

記事作成日:2016年2月