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橋梁長寿命化計画でストックマネジメント

ENGINEER’S VOICE Vol.3

橋梁長寿命化計画でストックマネジメント

橋梁点検から見えてくる橋梁の損傷と維持管理の現状

私たちの橋梁点検が、
社会資本ストックに果たす役割。

橋梁長寿命化計画とは、どのような取り組み?

弊社では、橋梁長寿命化計画を行うための点検、診断並びに橋梁長寿命化修繕計画策定、補修補強設計及び、耐震補強設計を行っています。また低炭素社会づくり業務として、小水力発電事業を推進しています。

その中で私の担当は、道路橋の点検、診断及び補修設計が主な業務で、国土交通省「道路橋に関する基礎データ収集要領」及び富山県「橋梁点検マニュアル(案)」に基づき、橋梁の損傷劣化に関するデータを収集し、橋梁の健全度の判定を行っています。さらに損傷劣化した橋梁の最適な補修補強工法検討及びその設計を行っています。

現在供用されている橋梁は、形式、規模、用途、重要度、架設位置、管理状況など、多岐にわたる条件を備えています。点検及び診断を計画された橋梁に対して事前に現地踏査し、橋梁本体への接近方法、点検方法を検討、計画し、必要に応じて所轄警察、河川管理者等の関係者協議を実施します。
多くの橋梁は、主に河川上又は、地上から高い位置に存在するため、橋梁点検車という特殊な作業車を用い、橋梁の裏面や橋脚に手の届く範囲まで接近し、点検を実施します。

このようにして収集した点検データは、橋梁点検システム(富山県)を用いて橋梁点検報告書とします。
この点検報告書によって判明した健全度の低い橋梁に対しては、橋梁本体から試料を採取して詳細調査(コンクリート強度、含有塩分量、中性化、アルカリ骨材反応試験等)を実施し、橋梁の保有している耐久性の診断を行います。
この診断結果を元に、その橋梁に適した補修及び補強方法を検討し設計します。

橋梁長寿命化に向けた想い

橋梁の耐用年数の目安はかつて50年と言われてきました。しかし、既設橋のストックが増え、橋年齢が50年を越える橋梁が増大しているのにもかかわらず、その橋梁の維持管理を行う事業費が十分確保できないという状況にあります。

多くの橋梁は維持管理をしなければならないのに放置されているため、劣化が急速に進展し、本来有している橋梁の寿命を縮めているのが現状です。この傾向は、熟練した橋梁技術者が少ない地方自治体に顕著です。多くの橋梁点検を行う中で、このタイミングで、「堆積土砂の清掃を行えば」「部分的に再塗装すれば」「防水工事を行っておけば」橋梁の寿命を縮めることはないだろうと言う状況にしばしば巡り会います。

公共構造物である橋梁は、現在のシステムでは、点検し損傷を発見してもそれらを直ちに補修できないというのが現状です。しかし、例えば「橋守」などの制度を設けて、その橋梁の管理者を決め、きめ細かく維持管理していけば、限られた予算で長寿命化を図ることができるのではと考えています。

横瀬彰三

前職では、主に新設橋梁の設計製作架設という社会資本整備の一端を担い、橋梁整備に携わる。38年間培ってきた技術を生かし橋梁点検及び補修設計業務を担当。

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