NiX JAPAN株式会社 NiX JAPAN株式会社

2013年12月8日

コンサルタントにとっての技術士資格取得の意義

弊社は本年度から、「日本技術士会北陸本部富山県支部」の事務局を務めており、私は富山県支部の副支部長を仰せつかっています(実はいくつも役を持っていますが、この「副」という役割ばかりなのは気のせいでしょうか??笑)。技術士会は様々な活動を行っており、富山県支部では先日発注者である富山県土木部農林水産部様との意見交換会を実施しております。また北陸本部としては、北陸地方整備局様との意見交換会を実施しています。このように、一企業としてはなかなか発注者様との接点を持ちにくいのですが、技術士会という団体になると、そのようなハードルも下がってくる訳です。

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(北陸地方整備局との意見交換会)        (富山県との意見交換会)

また27年10月には、富山県での技術士の全国大会の開催が決定しています。新幹線開業にあわせて開催できるわけで、全国から多くの技術士の皆様が来県されることでしょう。弊社はその際、実行委員会の事務局となって大会の段取りを実施する立場にあります。私も実行委員会の総務委員長を仰せつかっておりますので、これからの準備が大変です。た多分、札幌大会のドーコン(建設コンサルタント)さんのようにかなり弊社が中心となって動く必要がありそうです。社内の技術士も全員かかわっていただくことになりそうです。

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(札幌での全国大会の模様)

さてそんな技術士会ですが当然のことながら、技術士資格を保有していないと入会できません。資格を保有し年会費2万円(高い???)を納めなければいけないのです。その2万円と加入する価値をどのように評価するかは個人の自由ですが、弊社も私も長く携わっていますので、ほとんど仕事のような感覚です・・・笑。

今、弊社では技術士の数を増やそうと、プロジェクトを推進しようとしています。弊社の技術士数は県内コンサルタントでは飛びぬけて多い方ですが、やはり大手企業に比べると、社員数あたりの技術士数や、特定部門の技術士に不足感は否めません。弊社は技術士を県内同業他社よりも多く所属させていることで、この10年間業績を伸ばしてきました。国土交通省の業務の実績が伸びているのも、入札制度改革で総合評価方式になり、弊社の技術士保有の技術者の実力が評価されるようになったからであります(それまでは実績による指名競争入札であり、国の業務に歴史の浅い弊社は切り込む余地がありませんでした・・・)。今後このような動きは国だけでなく、県市町村レベルまで進むと考えられ、公募に必要な資格者を適切に有することは企業として死活問題になると考えられます。そこで弊社もさらに技術士を増強しようとしているわけです。

世間一般の方々はコンサルタント技術者は資格がないとできないと思っておられますが、実は、技術士の資格取得に関係なく業務を実施することができます。特に市町村においてはその企業がコンサルタント登録をしていれば、業務を実施する技術者は技術士資格を必要とされないケースがほとんどです。また、管理技術者が技術士資格を有していれば、実際に手を動かす担当技術者は技術士資格を求められません。また技術士より取得が比較的容易なRCCMという資格で代行できる業務もあります。このような背景から技術士を取得していないコンサルタント技術者はたくさんいます(取得していない技術者の方が圧倒的に多いと思われます)。勿論、技術士資格者ではないから仕事ができない訳ではなく、資格を持っていなくても優秀な技術者は多く存在しますし、個人も会社もそんなに困らない環境もあるわけです。また技術士資格を取得することは、それ相応の努力と労力を必要としますので、技術士資格を持たずともそれなりに仕事ができてしまう業務環境は、そのような技術者にとって資格取得の必要性を希薄化させていきます。それを許容する市場の存在という、資格が無くても技術者として生きていける環境下にあるからです。

しかしながら、これは一見「湯でガエル」の状況と同じであるともいえます。市場は刻一刻と少しずつ環境変化しています。その変化は急激でないが故に、常に業務に没頭する技術者本人には気づきにくく、気づいた時には環境変化が相当進み、技術者としての付加価値を失っていたということにもなりかねません。所属している企業も同じことが言えるでしょう。例えになりますが、近年グローバル展開している日本企業は役員会での使用言語が英語になってきている会社もあります。今まで英語を喋れなくても業務に支障がないからと言って、仕事はバリバリできるんだけど英語の勉強をおろそかにしてきた社員は、幹部登用を目前にして英語が喋れないという理由だけで、昇進の道を閉ざされてしまうのです。これぞまさに日本人的な「湯でガエル」です。

弊社では技術者「湯でガエル」を一人でも少なくしたいと思っています。同時に会社も「湯でガエル」になりたくはありません。勿論全員が技術士である必要はありません。時には資格だけ持っていて、仕事はあまりできない技術者もいます。ただ、同じ実力の技術者であれば、資格を持っている方がいいわけであり、会社としてもそのような技術者が多いことにこしたことはないのであります。特に地域のコンサルタントは技術士不足に悩んでいる企業が少なくありません。環境変化の荒波に呑み込まれないよう、早急な対策が必要でしょう。

弊社のプロジェクト名は「技術者倍増プロジェクト」らしいです・・・笑。技術士の役員が中心になって受験者をマンツーマンでサポートしていくプログラムということです。現在も実施していますが企業としての経費的なサポートもより手厚くする方向のようです。社員の皆様には是非、技術士資格取得にまい進していただければ幸いです。

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少し個人的な思いになりますが、本来技術士の資格取得などは、個人の課題であり、会社がサポートするようなものでは無く、個人として必要性や技術者としてのプライド感として自然に取り組むものだと思っています。そしてそのような気持ちが無いかぎり、会社がどれだけサポートしても、なかなか取得できないと思います。そのような気持ちにさせることもこのプロジェクトの役割なのでしょうか????いろいろ気を使う時代になりました。

NIXは技術士会の事務局として、今まで以上に多くの技術士が在籍するように頑張ってまいります。

プロフィール

市森友明 京都大学博士(経営科学)
技術士(建設部門・総合技術監理部門)

NiXグループ代表、NiX JAPAN 株式会社代表取締役社長。
京都大学工学部卒業・同大学経営管理大学院博士後期課程修了。

大手ゼネコン勤務を経て、2003年に入社。2006年7月から現職を務める。国内社会インフラの計画・設計、都市計画、小水力発電開発、およびインドネシア・シンガポール現地法人にて、再生可能エネルギー事業(水力・メガソーラー)を実施中。

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