NiX JAPAN株式会社 NiX JAPAN株式会社

2013年8月30日

経営の長期的な視点に立ち(その2)

前回のブログで26年度の公共事業費の見通しのことを記載しましたが、その後政府の26年度予算の概算要求が報道され、国土交通省は前年度16.3%増の予算を要求し、117%枠の最大を使った要求となりました。大変ありがたいお話で、是非要求額を認めていただきたいものですが、あくまで要求額でありますので、決定額がどのようになるのかは定かではありません。さらには当初予算の要求額でありますので、全体の政府系建設投資額はこの一般会計の予算に地方負担分や外郭団体の予算、そしてもっとも大きな変動である補正予算を足し合わせたものになりますので、一般会計の17%増が政府系建設投資全体に及ぼす影響は軽微です。前回ご紹介した財団法人建設経済研究所のモデル(下図)は、当初予算が前年度並み、かつ補正予算が執行されない場合を想定していますので、少なくとも政府の要求が通るとすれば、当初予算分の17%の増分だけは、予測よりも上回ることになりますがどのようになるでしょか。

さて、このような状況でのNIXの26年度以降の経営戦略ですが、どのようにすべきでしょか・・・・。我々NIXはここ10年間売上・受注を伸ばし続けています。本年度あたりは間違いなくマーケットが増大している恩恵を受けていますが、その数年前まではマーケットは毎年縮小傾向でした。すなわち、マーケット全体の恩恵に頼ることなく売上・受注を伸ばすことができているのです。HPでも公開していますが、下図が弊社の年度受注の推移であります(25年度の赤破線はあくまで目標です・・・)。

26年度の公共事業費がどのようなものになるかは定かではありませんが、前回のブログで紹介したように、過去最大の17%減ということにはならないとは思いますが、10%減から良くて横ばいと想定することが妥当かと思っています。しかしながら、そのようなマーケット状況はここ10年当り前であったのであり、その中でNIXは粛々と業績を伸ばしてこれたのでありますので、次年度以降も今までと同じように拡大路線で行くことは変わりないのであります。また長期的にみても、公共事業費は年度の増減こそあれ、大幅に全体額が減ることはあり得ないと考えています。従って、次年度以降の変化に耐えうる企業体質を構築していれば、中長期的に緩やかな成長基調は維持できると考えています。大事なのは、マーケット全体は横ばいでしょうが、その中の分野で大きく変化があるということです。成長分野を如何に掴むか、ということに尽きるでしょう。ではその具体的な方策は・・・・(詳しくは書けないのですが・・・)。

ここで抑えておきたいのは、10年前のNIXと現在では状況が違います。売上が2倍になっていることから、10年前と比べて、地域市場や特定分野でのシェア率が上がっていますので、地域内の特定分野だけでは市場の空きがありません。従って、成長を維持するのは、より外に、そしてより異分野への取り組みが26年度以降必要になってきると考えています。
やはり県内でのマーケットより県外のマーケットとなるわけです。両隣県のマーケットは恐ろしく閉鎖的ですが、ここ数年の地道な営業活動で何とか活路が開けてきています。実は隣県のトップ企業と本県のトップ企業であるNIXは全体の売上こそ2倍以上の開きがありますが(本県のコンサルタントは堅実な会社が多いんですよね・・・)、本社所在県内での売り上げはそれほど差がありません。要は、外でどれだけ稼いでいるかの差ということです。と、いうことで、NIXは県外展開をさらに強化します。26年度に入ってからでは当然遅いので、すでに営業所開設の手続きに入っており、本年度は投資・助走期間と捉え、来るべき26年度に備えようと考えています。また受注先のさらなる多様化への対応も始まりました。今までなかなか営業できなかった発注先へ、公共民間問わずコンタクトを始める予定です。このように、外への展開と受注先の多様化で26年度以降のマーケット変化に対応する予定です。
次に分野の多様化です。現在カバーしている分野はさらに外に広げますが、新たな分野の開拓も実施予定です。これはなかなか難しいのですが、まずはカバーしている分野の周辺分野での開拓を始めます。既存分野技術の応用が適用できる分野でしょうか。実際にこの10年間はそのようなことで技術分野を拡大してきました。
最後に26年度から始まるエネルギー事業での収益確保です。3段階成長戦略の最上位に位置づけられていますが、この事業をドライブさせることで、売電収入という安定基礎収入を得る予定です。エネルギー事業は本体のコンサルタント事業と大きくかかわりあいがあり、この事業をドライブさせることで、実は本業の収益にも大きくかかわってくるのです。ハードルは極めて高いですが・・・。

以上、何か偉そうに書いていますが、実は誰でも思いつくような簡単な戦略です、笑。
とはいうものの、筆者が思うに、我々レベルの企業経営にそんな複雑な戦略などある訳がありません(実際にはさらに細かい戦略・戦術があるのですが、ここでは書けませんので・・・)。そんなスーパーマンみたいな経営者はいない訳で(少なくとも私は見たことがありません)、大体その人間や企業ができるレベルの内容になる訳です。大切なのは、そのことをぶれずに如何に中長期的視野に立って実践できるか否かであると思います。NIXの経営戦略の本質は実は10年前とほとんど変わっていません。そして26年度以降もほとんど変わりません。エネルギー事業が加わるくらいでしょう。結局は長期的視野にたった経営とは決めたことをぶれずに粘り強く実践していくことなのかもしれません。
NIXはすでに26年度以降を見据えています。成長基調を維持するために。

プロフィール

市森友明 京都大学博士(経営科学)
技術士(建設部門・総合技術監理部門)

NiXグループ代表、NiX JAPAN 株式会社代表取締役社長。
京都大学工学部卒業・同大学経営管理大学院博士後期課程修了。

大手ゼネコン勤務を経て、2003年に入社。2006年7月から現職を務める。国内社会インフラの計画・設計、都市計画、小水力発電開発、およびインドネシア・シンガポール現地法人にて、再生可能エネルギー事業(水力・メガソーラー)を実施中。

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