株式会社新日本コンサルタント 社長ブログ NiX活動記

2018.01.23

魅力ある業界を目指して 業界誌への投稿より

2018年がスタートしました。弊社は新年も変わることなく、2017年度事業計画の達成に邁進して参ります。

さて、先日、投稿した業界誌が発行されました。ここに私の投稿をご紹介したいと思います。働き方改革に対する考え方です。難しい課題ですが、全力かつ前向きに取り組んで行きたいと思います。

-------------ーーー以下投稿原稿---------------

働き方改革とコンサルタント業 -魅力あるコンサルタント業を目指し-

1.働き方改革は急務に

働き方改革が世の中で話題になって暫く経過しました。電通の件以来、政府がその取り組みを強化し、当初の予定では2019年4月に法改正を経て施行ということであったと思います。その後、総選挙や政権の様々な課題があり、施行時期は未定となっていますが、近い将来に施行されることは間違いなく、各企業は移行期間に様々な改善を実施する必要に迫られていると思います。ブログ1

一方で、このような働き方改革は、電通の件を契機に突然始まったわけではなく、各企業は長時間労働を課題として継続的に改善に取り組んでいたと考えられます。電通の件で突然注目されるようになり、また法律での罰則規定も設けられることから、対応は待ったなしになったということでしょう。

2.電通事件の影響

電通事件の後、政府は迅速に対応し、各県の代表的な企業を対象に労務調査に入りました。弊社も例外ではなく、県内のサービス業の一つのサンプルということだと思いますが、富山労働基準監督署様から調査を受けました。労務制度上の問題はあまり指摘されなかったものの、一部の社員に新法律が施行されると違反となる長時間労働を指摘されました。弊社は以前より働き方改革の取り組みを続けてきましたが、今後1~2年以内に、新たな法律下で違反とならない労働時間とするべくさらに努力する必要があります。

弊社の取り組みは業界誌である日経コンストラクション(2017.7.24号)で一部特集されました。労働に関する数字を見える化することにより、まずは社員一人一人の意識を高め、そしてそこに会社としての施策が加わることで、長時間労働を是正していこうという趣旨で構成しています。そして、社内で使用している実際のデータを日経コンストラクション様に公表させていただきました。労務に関する数値は何も労働時間に関する数値だけではありません。一人当り一月当りの出来高(金額)や、一人当り単位人件費当りの出来高(金額)も管理数値としています。建設業や製造業では物の生産高が出来高の主要構成要素となりますが、製造原価に対する人件費の割合が低い故に成り立つ管理手法であり、労働集約的業務である測量設計業は、人件費と労働時間、及び出来高(金額)に関する数値を細かく管理する必要があります。すなわちその管理は、そのまま働き方改革における労働時間と生産性に直結するデータであります。ブログ3

さて弊社の残業時間や一人当り出来高ですが、これを多いとみるか、少ないとみるか、各社の評価やデータのまとめ方によって異なってくるとは思いますが、当該記事をご覧になった方々にとっては一つの参考数値になったものと思います。測量設計業や建設コンサルタント各社はそれぞれの立場で働き方改革に取り組まれていますが、今後は各社ある程度情報を開示して連携していくことが必要と考えます。技術者は皆さん一組織に所属していますが、建設生産システム全体としてとらえた場合、日本国インフラストラクチャー株式会社の一構成員とも言えます。これからもこのような数値を開示して、業界全体としての取り組みに繋げていければと考えます。

 

3.二律背反にチャレンジする日本企業

働き方改革を行う上で、無視できないことは業績とのバランスであり、働き方改革が単なる労働時間の縮減という時短だけに終われば、各企業の業績は落ちてしまいます。すなわち、労働時間を縮減した分、労働生産性を上げなければ業績は維持できません。これは現実の経営問題であり、日本全体の問題でもあります。時短を進め生産量が比例して落ちるようでは意味がないからです。そのような状況はGDPを押し下げ、企業の売上や利益を押し下げ、結果として給与が下がってしまいます。結果として政府が目指す経済成長に逆行することになってしまいます。

一方でOECD諸国のデータをみると、他の先進国に比べて日本の労働者の労働生産性が低いという結果がでています。特に製造業よりもサービス業の方が著しい差があるようであり、アメリカの労働生産を100とすると日本の労働生産性は60~70程度であると言われています。ブログ4

現在の日本企業は、売上や利益を落とさずに時短をする、すなわち労働生産性を劇的に向上させるといった、二律背反の状況への壮大な取り組みを実施している訳です。直接的に言えば、働き方改革によって今より生産高を上げ、欧米諸国並みにする、ということでしょうか。

4.機械的な時間管理は設計業に馴染むのか

日本のサービス業の労働生産性を欧米諸国並みに引き上げるためには相当時間がかかると考えます。海外でエンジニアやサービス業の経験がある方は容易に理解できると思いますが、欧米諸国では提供する技術成果物の水準、また顧客の要求水準も日本ほど高くない場合が多いのです。またサービス業への対価水準も異なります。このような商習慣故にサービス業の労働生産性が高くなっていると思われますし、また金融業といった極めて労働生産性が高い業種が多く存在していることも要因です。すなわち、日本の企業側だけの努力では、かなり時間がかかる問題であると言わざるを得ません。ただ個人的な考えではありますが、無理だと諦めると何も変わりませんので、取り組みを継続し少しでも改善傾向の状態を維持することが大切であろうと考えます。

一方で、労働時間を機械的に、強制的に管理する手法が最近よく見られます。例えば20時になったら会社の電源を落とすとか、パソコンの電源を入らないようにするといった取り組みです。強制的に労働時間を制限し、その強制的に減らされた制限の中で生産高を確保するということです。時短ということではこれほど効果的な取り組みは無いと思いますが、果たして日本のサービス業に馴染むのか非常に疑問です(勿論これを実施している企業は他の取り組みも併せて実施していると思いますが)。実際に政府の法改正案も一時的に最大月100時間まで残業を認めていますので、単なる20時以降は会社に居ない、とった働き方をイメージしているのではないことは明白です。我々設計業も解決すべき課題が明確になった時点で残されている時間が極めて少ないといった事象は頻繁に発生しています。このような状況を未然に防ぐことが最も大切であるのは間違いありませんが、非常に難しいと考えます。一方で、技術者はそのような困難な課題に立ち向かい、そして時には多少無理をしてでも、お客様の要求であったり時には自身が招いたエラーを挽回しようとする訳であり、そのソリューション行為には一種の技術者魂が込められ、そして課題を解決した時にその苦労に大きな達成感と喜びを感じ、その喜びが次の困難に立ち向かう勇気を与えてくれるのかもしれません(多少大げさですが…)。概して日本人はそんな人種であるような気がします。でありますので、一律に労働時間を制限する手法は、日本の技術者の働き方にやや合致しない気がします(例えば本田技術研究所のさくら研究所のF1エンジンのエンジニアは、F1グランプリの期間中、寝食を惜しまずエンジン開発に没頭します。それは彼らの喜びでもあるからです)。

 

5.我々業界にとっての働き方改革とは

いずれにしても、次世代の担い手だけでなく、現在の各社の構成員の皆様が、いきいきと働ける環境にしなければなりません。ただそれには単なる時短ではなく、喜びや達成感を阻害しない管理である必要があると考えます(私自身も寝食を惜しみ仕事をした経験が何度もあり、その時に得た経験や技術的な蓄積が無ければ、今の自分は無いと思っています)。企業として単に時短だけにとらわれない、インフラ系技術者が真に働きやすい環境づくりとは何か。多様な雇用形態であったり女性活躍推進もそうかもしれません。i-Constructionの推進やAIの活用もあるかもしれません。一方で逆に時間に捕らわれずに、自由に会社で仕事をできる環境も必要かもしれません。人間は人それぞれであり、ある仕事を1時間で終えることができる人もいれば、3時間かかる人もいる、3時間かかる人は労働生産性が低いのではなく、その人は労働時間で自分の能力をカバーしているのでしょう(私自身がまさにそうです….)。多様な働き方を認める社風、単なる法律の時短に捕らわれない働き方、我々知的生産サービス業に属している企業に求められる働き方改革はそのようなものであってほしい、と願いますし、各社歩調を合わせて業界なりの働き方改革を通じての魅力向上に取り組んでいこうと考えます。ブログ5

 

新日本コンサルタント 代表取締役社長 市森友明

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市森友明

  • 株式会社新日本コンサルタント代表取締役社長。京都大学工学部卒業後、大手ゼネコン勤務を経て、2003年に入社。技術部長などを経て2006年7月から現職を務める。
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