NiX JAPAN株式会社 NiX JAPAN株式会社

2020年4月22日

東南アジア事業の本当の価値とは

 当グループは、地域建設コンサルタント業を主力としている企業群としては珍しい、海外の現地法人を所有しています。ジャカルタにあるニックスインドネシアコンサルティングであり、日本人社長1名と現地の社員7名で構成されています。インドネシアでのビジネス展開を始めてからここに至るまで、5年ほど要していますが、現在では現地での水力発電の開発を精力的に実施できるまでになりました。インドネシアでの水力発電所は開発中でありますので、収益という目に見える形でのリターンはありません。一方で、インドネシア人の社員の働き方や仕事に対する姿勢は現在の日本人、そして当グループを構成している地域エンジニアにとっては刺激になるところが多いのではないでしょうか。勿論最終的な目標は事業収入を得ることですが、それ以前の開発段階において、様々な付加価値を生んでいます。このようなインドネシア現地法人の社員のマインドを今週のweb朝礼にて当グループの海外推進室室長兼現地法人社長が解説しておりましたので、ご紹介します。

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(以下、NiX JAPAN海外事業推進室室長、ニックスインドネシアコンサルティングCEO談)

 ニックスインドネシアコンサルティングが自主性と責任感に富んだ自走式組織として機能しているマインドは3つの観点で語ることができます。

1.プライド

 新興国のエンジニアは社会インフラをつくるという役割から非常に高いステータスを持っており、医者レベルの高い学歴、国をつくるという高い志を持っている。また彼ら、彼女らはインドネシアの経済発展に必要不可欠な電力不足の解消という大きなミッションに誇りを感じていると同時に、その家族にとっても誇れる仕事として認知されている。

2.上昇志向

 新興国は格差社会であり、工場で働くワーカーは月給2万円、外資系の支店長は50万円と給与に大きな開きがある。この格差により強い上昇志向を抱いており、プロジェクトでの成果を通じて会社の業績を上げることにより、自身の市場価値を上げるということを意識した働き方をしている。個人の成績ではなく会社のプロジェクトの成功が必要という考え方から、必然的に自発的に仕事をする体質であり、常に組織として最善の方策をそれぞれが探求するといった自走的運営をもたらしている。またプロジェクトにおける自身の専門分野に対しては、自ら責任者となることを訴求し、その領域の権限を要求するほど、積極的である。それだけ強いプライドと上昇志向をもっている。

3.危機感

 当社のインドネシアスタッフは元々撤退した日本企業に在籍していたことから、自身のパフォーマンスにより業績が下がると企業が撤退してしまうという危機意識を持っている。またインドネシアは2億7千万人の人口で、毎年富山県5つ分にあたる500万人が増え、平均年齢も28歳と若い。したがって、彼ら、彼女らの変わりはいくらでもその背後に控えているので自身のパフォーマンス向上を常に意識しており、経済成長に取り残されないよう、また自身のパフォーマンスと能力開発によって自身のポジションを死守する状況がみられる。

 

 伝統的に日本企業はこういうマインドに欠けている。ビジネスモデルも陳腐化している。これからは自主性と責任感をもった自走式の組織としていく必要がある。彼らの働き方を見てあらためて、コロナウイルスの影響による未曽有の経済危機の対応に迫られる我々の企業人にとって、気づかされることも多いし、学ぶことも多い(以上、海外推進室長談要約)。

 

 室長の言わんとするところは、私自身もよく理解できます。日本人、特に地方企業で働く企業人が完全に忘れ去った高度成長期のマインドの一端を彼ら、彼女らはもっているのです。異なることは、その当時のわが国は中流階級主義であったことに対し、インドネシアは超格差社会であるということでしょうか。このように、東南アジアでの事業は我々に忘れていた、また地域企業で働く人々に今後のあるべき姿を教えてくれます。これが当グループにとっての東南アジア事業の価値であると言えます。NiXはこれからも東南アジアの社員から学んでいきます。

 

プロフィール

市森友明 京都大学博士(経営科学)
技術士(建設部門・総合技術監理部門)

NiXグループ代表、NiX JAPAN 株式会社代表取締役社長。
京都大学工学部卒業・同大学経営管理大学院博士後期課程修了。

大手ゼネコン勤務を経て、2003年に入社。2006年7月から現職を務める。国内社会インフラの計画・設計、都市計画、小水力発電開発、およびインドネシア・シンガポール現地法人にて、再生可能エネルギー事業(水力・メガソーラー)を実施中。

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